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ANIMA

Year / 2018 -

Animaは地域の食料廃棄の現状をドキュメントとしてまとめたプロジェクトFood Waste Ware (2013)を漆を用いながら発展させた作品。日々排出される食品廃棄物と漆製の食器。食品廃棄物を食器の形で食卓に戻すことで、食にまつわる様々な事柄や問題、個人の食習慣、ひいては私たち人間と自然との関係性を顧みてもらえないかと考えた。

私たちは食べることで生きている。それは他の生き物の命を頂いているということである。しかしながら、食材を購入するときや食事をするときにそのことを強く意識している人は多くはないように思う。そのような意識が薄らぐことで、主に都市部の人々が直接または間接的に家庭や産業規模で日々膨大に'命'を粗末にしている。世界には満足な食事を得ることができず命を落とす人々が多くいる。そのような事実がある中、飽食で食べ残しが何とも思われず単なるゴミとして捨てられる様子は非常に悲しく、大きな社会問題であると思う。

試作実験を行う一方で、2年間にわたり自宅から排出される残菜の量を記録した(2~3人分)。野菜屑、卵殻、貝殻、骨など食べられない部分のみによるものだがそれでもその総量はおよそ315kgもあった。

古来建築物から調度品や祭具にまで使用されてきた漆は、食器作りにも広く用いられてきた。米や貝殻等を用いる技法もあり、食品とは伝統的に関係が深い。これらの技法ではそもそもは食べ残された食材が用いられたのではないかと推測される。この食材との関係性を現代的な文脈において編み直すことは、漆工芸に新たな側面をもたらすことに繋がるのではないかとも考えた。

店や家庭の食卓から排出されたものが姿を変え改めて食卓を彩るものとして並ぶ。その上には新たな食材が盛り付けられる。ある種の輪廻転生の様な循環が生み出す食卓の風景は私たちにどの様なことを考えさせるだろうか。

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​Concept, Design, Research and Development, Production: 荒木​ 宏介

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Food Waste Ware と共にこのプロジェクトはドイツのベルリンにあるKunstgewerbemuseum (Museum of Applied Arts)で
開催された展覧会 Food Revolution 5.0 - Design for the Society of Tomorrow にて初めて披露され、その後スイスのウィンタートゥールにあるGewerbemuseum Winterthurに巡回展示された。

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