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FOOD WASTE WARE

Year / 2013

現代社会における食料廃棄問題の現状に目を向けること、また命を粗末に扱っている状況を省みることを促す為、自宅のキッチンから出る野菜や動物の骨などの生ゴミ、スーパーや精肉店から出される廃棄、またロンドンのフードマーケット終了後に廃棄されていたり道路に落ちていた野菜くずをドキュメントとしてまとめ、そしてそれらから食器を制作した。

上記の日常の生ゴミのドキュメント及び器の作り方を記した本と器を作るための型を制作。この作品を見た人に個人レベルにおいても何かができるのではないかと考える機会を持ってもらうために、あたかも実在するレシピブックやキッチンツールのようにデザインした。

 

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Concept, Design, Research and Development, Production, Direction: 荒木 宏介

Graphic Design (booklet): 都志 朋弘

​Cover Photograph (booklet): 成尾 和見

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このプロジェクトhクリスティーズで開催された「21st century Design and Art – RCA 2013, Selected Works and Projects from Royal College of Art Show 2013にて全修了制作から選ばれた40作品のうちの1点として展示された。また同作品は無料で頒布されるロンドンの日刊新聞Evening Standard にも取り上げられた。

フードマーケットはその活気やまた新鮮な食材が手に入ることから多くの人に人気がある。しかし、そこを訪れている人達はマーケットの終了後に一体どの程度の廃棄などが出されているかなどは想像していないと思う。終了後の現状を知るために幾つかのマーケットを訪れ、その状況を写真に収めるとともに’素材’を清掃業者の方に頂いたり、または拾い集めた。同様に小売店の店主にその日の朝に廃棄する生鮮食品を譲ってもらった。確かに傷んでいるがそれらのなかにはまだまだ食べられる状態のものも多く含まれていた。身近なところ数カ所で相当な量の廃棄を手に入れることができたが、日々世の中で一体どれだけの廃棄が生み出されているのだろうか。

 

同時に、自宅のキッチンからの生ゴミ廃棄量を知るために一週間分をひとまとめとし、四週間分を記録にまとめた。一人暮らしで朝の果物や晩に自炊した時のものが主だが、それでも毎週約1キログラム程度(未乾燥状態)の量が出た。あるイギリスの調査によると、自分の家からは食糧の無駄な廃棄は出ていないと信じている人でも毎年88キログラムの避けられる食料廃棄(皮や種など食べられない部位を除く)を出しているとのことである。

 

この様な現状を背景に食料廃棄を素材とする物作りをしてみようと思った。そして形作った物を通して人々に食料廃棄問題の現状や食される命に対する感謝の気持ちを忘れてしまいがちな事実を顧みてもらえないかと考えた。

普段特別意識することなく何気なく捨てている物、価値が無いとみなされている物からでも思いがけず美しいものは生み出せる。食料廃棄の問題に留まらず、この作品が見た人にとって、身の回りで見過ごしてしまいがちな物事を新しい価値観でもって見たり考えるきっかけとなることを願う。

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