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ALTERNATIVE SYMBOLS FOR THE OLYMPICS AND PARALYMPICS

Year / 2020-2021

人種による不平等へのパーソナルなデモンストレーションとして制作をした、オリンピック・パラリンピックのシンボルマークのリデザイン。

オリンピックやパラリンピックは公平と平和を象徴するイベントの一つとしての役割を担っている。そこでのアスリートのパフォーマンスは、大会期間中はもちろん将来に渡って、国籍や性別、人種とは関係なく称賛されなければならないものである。そして、アスリートだけでなくスタッフや観客までを含めた人類全体の多様性を讃える大会としての存在意義もあるはずである。

オリンピックのシンボルマークは考案当初から現代まで、五大大陸を象徴する5色に彩られた輪で構成されている。パラリンピックのシンボルマークも元々はそれと同様に5つの要素から構成され同じ色が使われていた。現在使用されているシンボルマークは1994年に変更されたもので、「スリーアギトス」と呼ばれ「心・身体・精神」を象徴しているそうだ。「アギト」とはラテン語で「私は動く」を意味し、困難を乗り越えながら限界に挑戦し続けるパラリンピアンを表現するものである、とある。

ここにリデザインとして提示するシンボルマークの色は、アスリートやスタッフ、観客の出身地である国や地域(大陸)ではなく、彼ら自身に焦点を置くものである。パラリンピックのシンボルマークは初期のものを参照し構成要素を5つに戻し、それの表現するところに躍動感をより与えるものとなるように考えた。このようにすることでオリンピック・パラリンピックの理念をより強固に訴えるものとなり、よりヒューマンな、イベントの最も本質的な部分(人々)を高らかに示すものとなる。

 

ロンドンに暮らしていた時やヨーロッパを旅している時に、アジア人あるいは日本人というだけでいくらか人種差別的な言動を経験をした。これらの体験は海外からニュースで伝えられる出来事の凄惨さには到底及ぶものではないが、それでもなお自身のアイデンティティーや存在自体の否定を感じるには十分であった。公平で平和な世界の実現の願いを込めて、人種における平等への声としてこれらのリデザインを提示したいと思った。

多様性は差別の対象とされるべきものではない。多様性こそがこの世界を驚きや不思議に満ちたものとしているものである。世界にバランスをもたらし、世界を豊かに深いものとしている。多様性はこの宇宙の掛け替えのない神秘そのものである。

多様であるということは美しいものである。

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​Concept, Design, Research and Development: 荒木 宏介

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