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AGAR PLASTICITY

– A POTENTIAL USEFULNESS OF AGAR FOR PACKAGING AND MORE

Year / 2016

Prototype

AGAR PLASTICITYは海藻から抽出される寒天の工業素材としての潜在的な有用性を探求する素材研究プロジェクト。プロトタイプとして梱包資材としての利用などを提案。廃棄時には寒天の保水性を生かして土壌改良の素材として活用されることも期待され、また天然素材のため海に流れた場合にも海洋環境を害さないと考えられる環境保全を考慮した“新しい”素材。石油プラスチックの代替品としての可能性を探っている。

物が送られる際多くの場合プラスチック製緩衝材などで包装がされることが多いが、それらは開封されるとたちまちゴミとなってしまう。リサイクルに回収されはするが、原材料である石油資源のことや製造にかかるエネルギーのことなどを考えると望ましい状況とは言えない。

 

ある調査によると、2012年には2億8千8百万トンものプラスチックが世界で作られ、またパッケージに用いられた素材のうち36%以上はプラスチック製のものであったようだ。しかしながら、石油由来のプラスチックは土に帰ることはなく環境に対して悪影響を及ぼす問題を引き起こしている。このような背景もあり、このプロジェクトに取り組み始めた。

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Lexus Design Award 2016 グランプリ受賞作

前谷 典輝、村岡 明との協働プロジェクト​

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​Concept, Design, Research and Development, Production:

荒木 宏介, 前谷 典輝, 村岡 明​

Photography: 荒木 宏介

寒天はご存知のように和菓子など食べ物として親しまれてきた。棒状の角寒天、糸寒天や粉寒天といった形態でスーパーなど売られている。最初は角寒天の素材としての繊細な表情に惹かれていたのだが、それを持ってみると、空気を多く含んでおりボリュームに対して非常に軽く、また握るとくしゃっとほどよい反発のある構造体でできている。これらの特徴への着目と上記の問題意識が相まって寒天を梱包材や緩衝材にするというアイデアが生まれた。

寒天の原料は紅藻類と呼ばれるもののうちテングサ属とオゴノリ属に分類される海藻である。例えばチリやエジプトなど世界中の温暖な地域に生育し、養殖もされている。寒天はその紅藻類を茹でることで抽出をされる。

このプロジェクトで取組んでいる素材実験は三種類ある。一つ目は寒天のみを用いたもの、二つ目は寒天を煮出した後の紅藻類の廃棄を寒天と混ぜ合わせたもの、三つ目は寒天にこちらも食品業界の廃棄物由来である貝灰を混ぜ合わせたものである。寒天のみを用いたものからはドーナツ状の緩衝材や香水瓶を収めた緩衝性を兼ね備えたパッケージ、紅藻類の廃棄との混合物からは箱や花束をまとめるラッピングシートなど、貝灰と混ぜ合わせたものではタイルとしての使用を想定したものを製作した。

使用後これらの寒天製プロダクトは環境に優しい方法で処理することができる。寒天は保水性が高いため土壌の保水力を向上させる素材としての活用も期待され、加えて紅藻類の廃棄繊維が入っているものであれば肥料としての効果も見込まれる。また、万が一海や川、もしくは埋立地にそのままの形で廃棄されてしまったとしても時間とともに自然に分解されていくため環境に悪影響は及ぼすことはない。

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